コンプライアンスの基本方針と体制

コンプライアンスに関する方針

本投資法人および本資産運用会社は、投資法人に求められる社会的責任の重要性と公共的使命を十分に認識し、高い倫理観に基づく社会規範の遵守および投信法、金商法を中心としたコンプライアンスを経営上の最重要課題の一つとして捉えています。

本投資法人

役員会におけるコンプライアンスに対する姿勢の重要性に鑑み、役員会の構成員においてコンプライアンスに対する問題認識を常に有するように努め、役員会での活発かつ健全な協議の実現によりコンプライアンスの実践に配慮しています。コンプライアンスの実践を担保するため、全ての役員が本投資法人に対し、その職務の執行において投信法その他本投資法人に適用ある法令、株式会社東京証券取引所が定める諸規則および本投資法人の定める諸規程を遵守する旨の誓約をしており、かかる精神で業務にあたっています。

本資産運用会社

金商法、投信法、宅地建物取引業法その他の関連法令、本投資法人の規約、一般社団法人投資信託協会が定める規則、本投資法人との資産運用委託契約・不動産管理委託契約、社内規程などを遵守し、社会一般の倫理、常識および規範に則して担当業務を遂行するため、その社内規程である「コンプライアンス・マニュアル」において、コンプライアンスの意義ないし重要性、コンプライアンスの実践に関する基本方針、コンプライアンスの実践における各組織体の役割、役職員の行動実践手続などを定め、その徹底を図っています。 また、各役職員から関係する法令・規則などを遵守する旨の宣誓書を、毎年取得しています。

コンプライアンス推進にかかる体制

本資産運用会社においては、コンプライアンスの実現のために以下の体制を採用しています。

機関 主要な役割
取締役会 コンプライアンスの実践を公正かつ効果的に確保する責任を負っており、コンプライアンスに関する重要事項を決議するとともに、リスク・コンプライアンス委員会にて承認されたリスク・コンプライアンス・プログラムに承認を与えます。
代表取締役社長 会社運営の責任者として、取締役会の定める経営の基本方針に基づき業務(コンプライアンスの実現に関する業務を含む)の執行を総括管理するとともに、執行役員を指揮して、各部門の業務(コンプライアンスの実現に関する業務を含む)の執行を統轄しています。また、 1年に1度、全役職員宛てに、コンプライアンス意識の啓発を目的としたメッセージを発信しています。
リスク・コンプライアンス委員会

委員会においては、次に定める事項について審議・決議し、または報告を受けます。

  • 投資法人の規約の変更及び規則の制定・改廃に係る審議・決議
  • 当社と投資法人との資産運用委託契約、不動産管理委託契約、一般事務委託契約(機関運営)の締結・変更に係る審議・決議
  • 「関係会社取引規程」において、リスク・コンプライアンス委員会の審議が必要とされる取引に関する事項の審議・決議
  • 「オリックス投資法人資産運用及び不動産管理に関する規程(運用管理規程)」、「関係会社取引規程」、「金利デリバティブ取引管理に関する規則」、「リスク・コンプライアンス委員会規則」の制定・改廃に係る審議・決議
  • リスク・コンプライアンス・プログラムの策定・変更に係る審議・決議
  • その他、コンプライアンス・オフィサーが必要と判断した事項、及び上記各号に関連する事項の審議・決議または報告
コンプライアンス・オフィサー

コンプライアンス・オフィサーは、法令等を遵守させるための指導に関する次の業務を統括します。

  • コンプライアンス全般
  • リスク・コンプライアンス委員会招集・議事
  • その他上記各号に付随又は関連する事項
リスク・コンプライアンス部管掌役員

リスク・コンプライアンス部の業務を管掌する地位にあり、以下の業務を行います。

  • 立案された取引その他職務の執行においてコンプライアンス上の問題を発見した場合、またはリスク・コンプライアンス部長から法令・規則などの違反を発見した旨の報告を受けた場合には、これらについて中止、是正または変更を勧告します。
  • リスク・コンプライアンス部長より報告を受けたコンプライアンスの状況について、6カ月ごとに、取締役会にて報告します。
リスク・コンプライアンス部長

リスク・コンプライアンス部長は、リスク・コンプライアンス部管掌役員の管掌のもと、以下のような役割を担います。

  • 基本方針・役職員行動実践の周知徹底およびコンプライアンス意識の醸成
  • 運用資産の取得・処分、管理委託、賃貸、修繕・改修などに係る法令・規則などの遵守状況の確認
  • 運用資産の取得・処分、管理委託、賃貸、修繕・改修などに係る法令・規則などの違反が発見された場合におけるリスク・コンプライアンス部管掌役員への報告
  • 6カ月に一度、法令・規則などの遵守状況をリスク・コンプライアンス部管掌役員に報告
  • 取締役会の監督のもと、役職員行動実践に関する相談対応
  • 取締役会の監督のもと、役職員行動実践に関する実践状況の調査の実施および改善
  • コンプライアンス研修の企画・実施

その他、本資産運用会社のコンプライアンス手続の詳細は、第44期有価証券報告書P.205「④コンプライアンス⼿続」をご覧ください。

コンプライアンス推進の取り組み

利益相反取引への対応

本投資法人の資産運用の委託を受けている本資産運用会社は、本投資法人との間の資産運用委託契約に定められた義務に加えて、金商法第42条により、本投資法人のため忠実に資産の運用に係る業務を遂行する義務(同条第1項)、および本投資法人に対して善良な管理者の注意をもって本投資法人の資産の運用に係る業務を遂行する義務(同条第2項)を負っています。よって、スポンサーグループとの取引において、不当にスポンサーグループの利益を図り投資法人に不利益となる取引を実行しないよう、日頃から努めています。
また、本資産運用会社は、スポンサーグループを含む関係会社等との取引などに関する社内規程として「関係会社取引規程」を設け、これを遵守することによって、本投資法人と本資産運用会社の利害関係人等との取引など、利益相反のおそれのある当事者間での取引などに係る弊害の排除に努めているほか、「コンプライアンス・マニュアル」の制定・利用により、役職員一人一人の法令遵守の意識を高めるとともに、その基本的な実践の手順を定めています。これにより、本投資法人の利益に優先して本資産運用会社の利益が図られることのないような体制が整備されているものと考えます。
また、本投資法人の役員会において、スポンサーグループとの間の一定の取引などについては、事前同意を得る旨、本資産運用会社の社内規程に定められており、かつ、当該社内規程の変更は、本投資法人と本資産運用会社との間の資産運用委託契約上、本投資法人の役員会の承認が必要である旨規定されています。かかる定めにより、スポンサーグループとの取引などの場合において、利益相反的事態を防ぐ体制が確保されています。
リスク・コンプライアンス委員会の決議においては、コンプライアンス・オフィサーの出席を要することとするとともに、コンプライアンス・オフィサーには単独で案件を否決する権限を付与しています。このような権限および機能をコンプライアンス・オフィサーに与えることにより、利益相反取引による弊害発生の回避が実現されるものと考えます。
さらに、本資産運用会社が設置する投資委員会およびリスク・コンプライアンス委員会においては、それぞれ本資産運用会社と利害関係のない不動産鑑定士および弁護士を外部委員として選任しています。各委員会の決議においては、それぞれの外部委員の出席を要することとするとともに、外部委員には単独で案件を否決する権限を付与しています。このような権限および機能を外部委員に与えることにより、委員会における意思決定の第三者性が確保され、利益相反取引による弊害発生の回避が実現されるものと考えます。

接待・贈答などの授受、腐敗行為の防止

本資産運用会社では、「接待・贈答の授受に関する規則」において、取引先などまたは公務員などとの間で接待・贈答の授受を行うに際しての基本的事項を定め、本資産運用会社が不正な利益を得るための手段としての接待・贈答を行うことを防止し、取引先などまたは公務員などとの間で公正で透明な取引を行うよう努めています。
また、オリックスグループでは、「オリックスグループ腐敗行為防止ポリシー」を定め、取引の相手方が政府職員であるか、民間あるいは個人であるかを問わず、いかなる状況であれ、腐敗行為にかかる支払の授受を禁止しており、本資産運用会社もこの適用を受けます。役職員による贈賄・談合・癒着などの不正取引が行われていないこと(オリックスグループ腐敗行為防止ポリシーに関連する事項)に関して、本資産運用会社のリスク・コンプライアンス部は、日常のモニタリング業務に加えて、全ての部門に対して定期的にその管理、監視および遵守徹底に対する対応を実施しています。
本資産運用会社の役職員は、贈収賄を含む腐敗行為の防止等にかかる研修を年1回e-ラーニングの形式で受講するとともに、腐敗行為の防止等にかかる法令・規則などを遵守する旨の誓約書を、毎年提出しています。
2023年度も、本資産運用会社にて腐敗行為防止規程に違反して人事上の懲戒処分を受けた事例はありません。

反社会的勢力排除に向けた体制整備

本資産運用会社は、反社会的勢力には断固とした対応を行っていくことを明確化するため、「反社会的勢力による被害を防止するための基本方針」を制定しています。
また、本資産運用会社もしくは本投資法人が第三者との間で取引を開始する場合、本資産運用会社もしくは本投資法人の取引の相手方が反社会的勢力であることが明らかとなった場合、および本資産運用会社または本投資法人に対し反社会的勢力からの不当要求が行われた場合の対応について、本資産運用会社の社内規程である「反社会的勢力への対応に関する要領」においてその具体的な手続を定めることにより、反社会的勢力の排除に向けた体制を整備しています。

マネー・ロンダリングの防止

宅地建物取引業者および金融商品取引業者である本資産運用会社は、特定事業者として、犯罪による収益の移転防止に関する法律上の義務を負っており、当該義務の履行のため「マネー・ローンダリング等の防止に関する規則」およびこれに付随する業務マニュアルを制定しています。当該社内規程に従い、宅地建物および信託受益権の売買契約の締結またはその代理もしくは媒介について、取引相手の取引時確認、確認記録および取引記録などの作成・保存、そして疑わしい取引を発見した場合には行政機関に対してその届出を行うことにより、犯罪収益の移転防止・早期発見そして剥奪につなげています。

インサイダー取引の防止

本資産運用会社は、そのインサイダー取引の防止などに係る社内規則において、本資産運用会社の役職員が、その立場上知り得た重要事実(資産運用会社または本投資法人に関する情報であって、金商法第166条第2項において定義する「業務等に関する重要事実」をいい、それらに該当する情報を「インサイダー情報」といいます。)の公表前に本投資法人の投資口、新投資口予約権および投資法人債(以下「投資口等」といいます。)の売買などを行うことを禁止するとともに、インサイダー情報の伝達を原則禁止としています。職務遂行上、インサイダー情報の伝達を必要とする場合には、その必要な限度においてのみ行うことができ、同時に当該情報が公表されるまでの間、当該他者に本投資法人の投資口等について売買その他の有償の取引をさせることにより、当該他者に利益を得させ、または損失の発生を回避させる目的をもって、当該情報を伝達しまたは取引などを勧めてはならない旨を定めています。また、資産運用会社は、オリックス株式会社およびオリックス不動産株式会社との間の2013年12月24日付スポンサー・サポート契約に基づいて、インサイダー情報の管理を含む情報共有態勢を整備しています。

不公正な取引等の防止

本投資法人および本資産運用会社は、独占禁止法で不公正な取引方法として挙げられている「優越的地位の濫用」の禁止および下請代金支払遅延など防止法に定める義務の遵守をコンプライアンス・マニュアルに定め、公正かつ自由な競争の確保に努めています。

苦情・事故・危機等への対応

本資産運用会社の役職員は、コンプライアンス上の問題を含む苦情・事故・危機等が発生した場合には、速やかに部門長へ報告した上で、所定の手順に基づき社内報告をすべきことが「苦情・事故・危機等対応規則」で定められています。
苦情・事故・危機等とは法令違反、情報漏洩・情報セキュリティインシデント、システム障害、役職員の不正・不祥事、事務ミス、苦情・紛争、風評被害・商標権などの侵害、反社会的勢力との関わり、保有物件での災害・事故・事件、商品・サービスなどの欠陥、過失などのインシデントおよび取引先の業況悪化など、本投資法人および本資産運用会社の業務運営などに悪影響を及ぼす事象を指します。
各報告が終結するまで、是正措置の実施状況をリスク・コンプライアンス部がモニタリングし、同部がそれぞれの進捗状況を半期に1回、リスク・コンプライアンス委員会および本資産運用会社の取締役会へ報告し、定期的に本投資法人の役員会へも報告します。また、コンプライアンス上の問題を含む苦情・事故・危機等が発生したものの、各役職員から上長への報告が困難な場合は、直接リスク・コンプライアンス部長またはリスク・コンプライアンス部管掌役員へ報告すべきことも同規則に定められています。

デューデリジェンスおよび鑑定評価取得におけるESGの観点

本資産運用会社が本投資法人による不動産関連資産の取得または譲渡を代理する際には、デューデリジェンスおよび鑑定評価などの結果が、本投資法人における不動産関連資産の取得・譲渡時の価格や意思決定に大きな影響を与えることを認識し、業務実績や社会的評価のみならずESGへの取り組みの観点から当該業務の委託先の適切な選定・管理を行っています。また、当該業務委託先におけるデューデリジェンスおよび鑑定評価に際しても、不動産関連資産におけるESGの取り組みの内容が結果に反映されています。

業法違反、汚職、労働関連法令違反や環境法令違反を起因とした罰金の支払

2023年度においても、業法違反、汚職、労働関連法令違反や環境法令違反などによる罰金の支払いはありません。

オリックスグループの関連規程

本資産運用会社では、本資産運用会社の親会社であるオリックス株式会社が制定する、オリックスグループ共通のコンプライアンスにかかる規程の一部を受け入れ、当該規程に定める社内規程を遵守した行動をとるための規範や行動基準の推進を図っています。

オリックスグループ行動指針

オリックスグループでは「行動指針」を定めています。
本資産運用会社もオリックスグループの一員として、これらを遵守しています。

行動指針全文はこちらをご覧ください

通報制度

オリックスグループでは、コンプライアンス推進の一環として、取引先などからの通報窓口を設置しています。

外部通報制度はこちらをご覧ください

内部通報制度はこちらをご覧ください

コンプライアンス研修および啓発

本資産運用会社の役職員は、入社時に、リスク・コンプライアンス部が実施するコンプライアンス研修においてコンプライアンス・マニュアルの説明を受けます。
また、社内のコンプライアンスに対する意識の向上およびコンプライアンス体制の維持を目的として、リスク・コンプライアンス部の主催により、金商法、投信法、宅地建物取引業法その他の不動産取引関連法などの法令、社内規則、腐敗行為防止、情報セキュリティなどに係る役職員向け(派遣社員および本資産運用会社からの業務受託者の社員などで本資産運用会社に駐在する者を含みます。)研修会を、半年に1回以上集合研修やe-ラーニングの形式で適宜実施しています。さらにオリックスグループ主催の研修も受講し研修体制を充実させています。
また、社長から、全役職員に対してコンプライアンス意識向上に向けたメッセージを発信し、コンプライアンスの実践状況を人事考課に反映させています。

監査およびモニタリング体制

本資産運用会社は、内部監査業務を外部専門家に委託します。「内部監査業務受託責任者」は、内部監査に係る中期方針および年度監査計画を策定し、「社長」に提出します。「社長」は「取締役会」にてこれらに関して承認を得ます。内部監査は、一年に一度以上の頻度で実施します。 「内部監査業務受託責任者」は、内部監査の結果を監査報告書により 「社長」および適切な関係者に報告します。「社長」は、当該報告書を 受領後、内部監査の結果を「取締役会」に報告します。「監査対象部門」責任者は、内部監査の指摘に対して必要な改善措置を講じなければなりません。
さらに、本資産運用会社では、各部門が自ら、経営基本方針、組織ミッション・重点目標および法令・条例・社内諸規程などに則り、適切かつ有効な業務運営がなされているかを調査の上、これを評価し、業務の是正・改善を行っており、当該調査により内部管理の適切性と健全性の確保を図っています。
本資産運用会社では「3つのディフェンスライン」に基づき組織体制を整備しています。第2線にあたるコンプライアンス・オフィサーおよびリスク・コンプライアンス部と第3線にあたる「内部監査業務受託者」につき、それぞれ第1線から独立した部門にて行い、または外部専門家に委託しています。

図版

お客さま本位の業務運営

お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティ)の概念は、元来の「信託契約等に基づく受託者が負うべき義務」にとどまらず、近年ではより広く「他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い役割・責任の総称」とされています。我々資産運用会社における「フィデューシャリー・デューティー」は、投資家の皆さまと資産運用会社との信認関係に基づく義務・責任であり、この信認関係は契約のみによって成り立つものではなく、不動産運用の専門家として、投資家の皆さまの利益を最大化するために業務を実施することが求められていると考えています。その概念のもと、本資産運用会社では、お客さま本位の考え方に基づく業務運営の徹底に向けて、2017年9月に「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」 を制定しました。

お客さま本位の業務運営に関する基本方針全文はこちらをご覧ください