ガバナンス 本投資法人の仕組みとガバナンス
本投資法人の仕組み
J-REITでは、投資法人には資産運用のための「器」としての機能が徹底されており、投信法上、従業員の雇用が禁止され、業務を外部に委託することが義務付けられています(外部運用型)。これに従い、資産の運用に係る業務は資産運用会社に、資産の保管に係る業務は資産保管会社に、資産の運用および保管にかかる業務以外の事務は一般事務受託者に委託しています。(以下、資産運用会社、資産保管会社、一般事務受託者を総称して、資産運用会社等といいます。)
これら資産運用会社等は、投資法人に対して忠実義務・善管注意義務を負う旨、金商法および投信法に明文化されています。さらに投資家保護の観点から、資産運用会社および資産保管会社は、一定の財産的基礎・人的構成を有する法人などの一定の範囲の者に限定されており、コミングルリスクや相互牽制の観点からの分別管理義務が課されています。また、内閣総理大臣(証券取引等監視委員会)の監督権限は、資産運用会社等におよび、資産運用会社等における業務遂行の適正は、かかる監督を通しても実現されることが予定されています。
投資法人の執行役員は、投資法人の業務を執行するとともに、投資法人を代表して投資法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有していますが、上記のとおり、投資法人は、その業務を資産運用会社等に委託していますので、執行役員の主な業務は資産運用会社等を管理・監督することです。また、投資法人の監督役員は、資産運用会社、スポンサーおよび執行役員からの独立性が求められており、その員数は、投信法の規定により執行役員の数に1を加えた数以上の数です。独立性のある監督役員が投資法人の役員会の過半数を構成し、執行役員および資産運用会社等を監督することで、執行役員による恣意的または投資主やステークホルダーの利益に反する業務執行を防止し、投資法人と資産運用会社等との間のガバナンスが保たれる仕組みとなっています。

本図は、本投資法人が直接に不動産を保有している場合の本投資法人を中心とした主要な契約関係および当事者を示したものであり、不動産信託受益権で保有するなど、保有形態が異なる場合などには、契約関係および当事者が本図とは異なることがあります。
原則として住宅部分を除きます。
原則として住宅部分です。
日本のリート(J-REIT)と米国のリート(US-REIT)の違い
本投資法人および本資産運用会社のガバナンスをご理解いただくにあたり、J-REITと米国のREIT(US-REIT)との仕組みの違いをご説明します。US-REITでは、外部運用型も可能ですが、多くの場合以下のようにリート内部の組織で運営する形が採用されており(内部運用型)、従業員を雇用することができ、ガバナンス体制は一般的な企業と同様となります。
一方、外部運用型のJ-REITにおいては、投資法人は、その資産の運用を委託する資産運用会社と一体となってガバナンス体制を構築することが予定されています。

本投資法人の機関について
本投資法人の機関は、投資主により構成される投資主総会に加えて、執行役員1名、監督役員3名、執行役員および監督役員を構成員とする役員会ならびに会計監査人により構成されています。
執行役員について
J-REITでは、運用会社の社長が投資法人の執行役員を兼任していること、あるいは執行役員をスポンサー企業から招聘していることが多い中、本投資法人では、内部統制の強化のため、執行役員を本資産運用会社の社長とは別の者とし、スポンサーグループ以外から招聘しています。本投資法人の執行役員は、監督役員と同様に、本資産運用会社等およびスポンサーグループと利害関係を有さない者であり、独立した立場から本資産運用会社等を監督しています。
監督役員について
投信法上、監督役員の人数は執行役員の人数に1を加えた数以上とされており、執行役員1名の場合には監督役員は2名でも足りるところ、本投資法人では、幅広い専門性をもって監督機能を強化するため監督役員を3名としています。投資法人を監督する上で重要である「企業経営」「会計・税務・ファイナンス」「コンプライアンス・リスク管理」「不動産」という4つの分野をカバーするように「不動産鑑定士」「弁護士」「公認会計士」を選任しています。監督役員は、投信法上の「執行役員および本資産運用会社等からの独立性に関する基準」に抵触していない「独立役員」として、執行役員および本資産運用会社等の業務執行を監督しています。
本投資法人の役員の構成、専門性、役員会への出席状況、および報酬
役員名 | 氏名 | 性別 | 写真 | 選任理由 | 主なスキルと経験など | 保有資格 | 役員会議長 | 独立役員 | 2023年度 役員会への 出席状況 |
報酬総額 第43期~44期 2023年3月~2024年2月 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
企業経営 | 会計・税務・ ファイナンス |
コンプライアンス・ リスク管理 |
不動産 | ||||||||||
執行役員 | 三浦 洋 2021年11月就任 |
男性 |
![]() |
会計・税務・ファイナンスおよびリスクマネジメントの専門家として 豊富な業務経験と知見を有している。 また10年近い海外駐在を含む長年の国際関連業務の経験から当該業務の見識も高い。 |
○ | ○ | ○ | ○ | 公認会計士 | ○ | 17回/17回 (100%) |
8,400千円 | |
監督役員 | 押味 由佳子 2021年11月就任 |
女性 |
![]() |
法律の専門家としての知識と業務経験に加え、リスク・マネジメントの分野で専門性を有し、 本資産運用会社のリスク・コンプライアンス委員会外部委託委員を8年間つとめた。 複数の上場企業の社外監査役にも就任している。 |
○ | 弁護士 | ○ | 17回/17回 (100%) |
3,600千円 | ||||
監督役員 | 五十嵐 殉也 2023年11月就任 |
男性 |
![]() |
不動産鑑定士として不動産投資の専門家であり、不動産業全般にわたり豊富な知識と経験を有し、 本資産運用会社の投資委員会外部委員を9年間つとめた。 |
○ | 不動産鑑定士 | ○ | 17回/17回 (100%) |
920千円 | ||||
監督役員 | 小西 めぐみ 2023年11月就任 |
女性 |
![]() |
会計・税務・ファイナンスおよびリスク・マネジメントの専門家として 豊富な業務経験と知識を有している。 |
○ | 公認会計士 | ○ | 17回/17回 (100%) |
920千円 |
本表における「主なスキルと経験」は各役員が有する経験・専門性のうち相対的に特徴的なものを記載しており、各役員が有する全ての知見・能力を表すものではありません。
本表における「独立役員」とは、投信法において定められる執行役員および資産運用会社等からの独立性に関する基準に抵触していない「独立役員」をいいます。
執行役員および監督役員は、いずれも本投資法人の投資口を自己または他人の名義で所有していません。
押味由佳子の戸籍上の氏名は齋藤由佳子です。小西めぐみの戸籍上の氏名は粉川めぐみです。
2023年11月29日付で退任した前監督役員の小池敏雄および服部毅の2023年度役員会への出席状況は、いずれも10/10回(100%)です。
第43期から第44期の小池敏雄および服部毅への報酬の総額はいずれも2,680千円です。
報酬
本投資法人が支払う報酬は、以下のとおりです。
執行役員および監督役員の報酬
執行役員および監督役員の報酬は、役員の各々について1人当たり月額金80万円以内の金額において、当該職務と類似の職務を行う取締役、監査役などの一般的な報酬水準、物価動向、賃金動向などに照らして合理的と判断される金額として、上記の金額を超えない範囲で役員会で決定される金額とします。詳細は本投資法人の役員の構成、専門性、役員会への出席状況、および報酬の表をご覧ください。
本資産運用会社の報酬
本資産運用会社の報酬の中には、総資産額に対する報酬のほか資産運用の業績に連動する報酬もあり、これらのインセンティブにより、資産運用会社が本投資法人の業績向上に努めることにより、投資口価格の上昇による投資主価値の最大化につながると考えています。運用報酬の詳しい計算方法などは投資法人規約第41条をご覧ください。
会計監査人報酬
会計監査人の報酬は、監査の対象となる決算期間毎に金2,000万円を超えない範囲で役員会で決定される金額とします。
名称 | 報酬の内容 | 第43期 | 第44期 |
---|---|---|---|
有限責任 あずさ監査法人 |
監査業務に基づく報酬 | 12,500千円 | 14,300千円 |
非監査業務に基づく報酬 | 0円 | 0円 | |
当監査法人と同一の ネットワークに属する者に対する 非監査業務に基づく報酬 |
10,174千円 | 9,963千円 |
業務執行体制とガバナンス
本資産運用会社は、本投資法人より資産運用および機関運営などの委託を受け、安定的、効率的かつ透明性の高い資産運用を実現し、本投資法人を健全かつ収益性の高いリートに成長させることを経営の基本方針に掲げ、業務執行、経営監視などの仕組みを構築し事業活動に取り組んでいます。
本投資法人は、執行役員、監督役員、投資法人役員会によって、本資産運用会社の業務執行を監督し、本投資法人と本資産運用会社が一体となってガバナンス体制を構築しています。
意思決定プロセス
本資産運用会社では、本投資法人の資産運用にかかる意思決定プロセスに、第三者外部委員による監視機能を備えた実効性の高い審議プロセスを組入れガバナンスを強化しています。投資委員会、リスク・コンプライアンス委員会の外部委員は、それぞれ本投資法人、本資産運用会社、およびスポンサーグループと利害関係の無い独立した立場の専門家であり、各委員会の決議の中で拒否権を有しています。資産取得のプロセスについては下図を参照ください。
本資産運用会社の監督について
本投資法人では、役員会の構成員(執行役員と監督役員)が全員、資産運用会社およびスポンサーグループと利害関係の無い独立した立場の者です。これら独立した立場の者が構成する役員会において、本資産運用会社から定期的に資産の運用状況やリスク管理に関する詳細な報告を受けることに加え、監督役員は、投信法上、いつでも本資産運用会社等に本投資法人の業務および財産の状況に関する報告を求め、必要な調査をすることができます。
資産運用会社の意思決定の流れ(物件取得・売却時)

本資産運用会社の運用体制・各委員会の体制
本投資法人役員会の実効性評価
本投資法人は、役員会の実効性向上のため、2024年から実効性評価を導入しました。
年1回、記名アンケートを実施します。
2024年6月に実施した評価では、全般的に高い評価であり、役員会の実効性が確保されていることが確認できました。
今後も役員会のさらなる実効性向上に努めてまいります。