気候変動への取組

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本投資法人は、気候変動が世界共通の重要な課題であり、中長期のリスクであることを認識し、脱炭素社会にむけて、本投資法人の資産運用会社であるオリックス・アセットマネジメント株式会社と共に、温室効果ガスの排出削減等による気候変動の緩和と、気候変動による影響を軽減化し機会とするための適応に取り組んでいます。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同

本投資法人の資産運用会社であるオリックス・アセットマネジメント株式会社は、金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)によって設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」提言への賛同を2019年10月に表明し、TCFDコンソーシアムにも入会しました。

TCFDは、気候関連のリスクと機会がもたらす財務的影響について、投資家を含むステークホルダーに情報開示することを促す提言を公表しています。

また、2020年秋には、資産運用会社が環境省の「令和2年度TCFD提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」の支援対象企業に選定され、デロイトトーマツコンサルティング合同会社のコンサルティングを受けながらTCFD提言に沿って、気候変動に関するリスクと機会の特定及びその分析・評価を開始しました。


> TCFD提言についてはこちらを、TCFDコンソーシアムの詳細についてはこちらをご覧ください。

TCFD提言に基づく開示

本資産運用会社は、2019年にTCFDへの賛同を表明し、あわせてTCFDコンソーシアムへ加入、本投資法人の気候変動に関するリスク分析・リスク管理や取組を推進し、TCFDに基づく情報開示をすすめています。

項目 主な内容
ガバナンス
  • 本投資法人の気候関連課題への対応は本資産運用会社にて行い、その責任は本資産運用会社の社長が担っています。 本資産運用会社では社長と各部管掌役員(取締役全員を含む)をメンバーとして 「サステナビリティ委員会」 を設置し、気候変動を含むESG課題の審議・報告がなされます。具体的な決定は、審議の結果を受けて決裁基準に則り、本資産運用会社取締役会あるいは社長が行います。
  • 本資産運用会社の取締役会メンバーはサステナビリティ委員会の構成員を兼ねており、移行計画の策定や、気候変動課題への目標設定 ・進捗モニタリングはサステナビリティ委員会で行います。
  • ESG方針や関連指針の改定、年度活動計画や予算については、サステナビリティ委員会の審議を経て取締役会で決議されます。また、気候変動課題への対応は、「リスク・コンプライアンスプログラム」の対象として、四半期毎に取締役会へ報告、モニタリングを受けています。
  • 気候変動を含むESG対応に関する事項は、本資産運用会社から本投資法人役員会に定期的に報告されます。
  • 本資産運用会社の取締役はESG方針に基づく活動に責任を持ち、また執行役員は管掌部門の組織ミッションとしてESG関連事項への対応を掲げ、 取組を推進します。

> ESG推進体制についてはこちらをご覧ください

戦略
  • 本資産運用会社は気候変動が本投資法人に及ぼすリスクと機会の特定と、これらが将来的に戦略や計画に及ぼす影響について、分析をすすめています。
  • 具体的には、本投資法人の気候変動対策が、パリ協定に整合した低炭素経済への移行や、今後増加が見込まれる物理的リスクに対しどの程度レジリエンスであるか、TCFD提言に基づき複数シナリオ(1.5℃~ 2℃シナリオと 4℃シナリオ)で分析を実施、さらに、CRREM*1やCVaR*2等のツールによる検証もすすめています。 「2050年ネットゼロ」に向けた移行計画の策定をすすめています。
  • CRREM とは、 Carbon Risk Real Estate Monitor の略称
  • CVaR とは、 MSCI 社の気候バリューアットリスク(Climate Value -at-Risk)の略称

> シナリオ分析についてはこちらをご覧ください

リスク管理
  • 本資産運用会社では、 気候変動リスクを含むリスク全般について、リスクの洗い出しや評価方法を定め、毎年見直しを行っています。 リスク管理は 「リスク管理規則」 に基づき実施され、具体的には 「リスク管理実施要領」 に基づき 「リスクライブラリー」 を作成、リスクカテゴリやリスク内容、発生頻度や重要性の判定を行います。 これをもとに 「リスク管理統括責任者」(リスク ・ コンプライアンス部管掌役員が担当)は重大なリスクとして対応が必要な事項を抽出し、 対応計画を 「リスク ・ コンプライアンスプログラム」 として策定、 取締役会の承認を経て活動を推進します。
  • 気候変動リスクは、全社経営に関わる中長期リスクの重大なリスクとして、「リスク・コンプライアンスプログラム」の対象としており、「長期的な気候変動リスクの把握と影響度の分析」をプログラムの一つとして実施しています。
  • 気候変動リスクについては、TCFDの推奨事項に従って、リスクと機会の特定とシナリオ分析による財務的影響の把握を実施しています。

> リスク管理についてはこちらをご覧ください

指標と目標
  • 本資産運用会社は本投資法人の資産運用に際し、2050年にネットゼロを目指すことを長期目標として活動をすすめています。また、中期目標として2030年に、本投資法人が管理権原を有する部分を対象に、GHG排出量を2021年比42%削減、GHG排出量原単位を2021年比42%削減することを目標に掲げています。また、グリーンビルディング認証の取得割合を2030年までに床面積ベースで80%以上としています。
  • 2030年の中期目標の内「GHG排出量を2021年比42%削減」については1.5℃目標に整合した科学的根拠に基づく目標設定をしています。
  • 気候変動等に関係する指標として、エネルギー使用量、温室効果ガス排出量(スコープ1,2,3)、グリーンビルディング認証取得状況、廃棄物重量・埋立処分率、水使用量等を定期的に把握、開示しています。
  • インターナルカーボンプライシングについて、TCFDシナリオ分析等でのリスク分析では将来の炭素税想定を13,650円(130USD:ただし為替レートは分析時の2020年11月20日時点の105円にて換算)と設定、将来のコスト増と投資意思決定判断時の参考指標として利用しています。

> 指標と目標についてはこちらをご覧ください
>当該目標達成に向け策定した移行ロードマップについてはこちらをご覧ください
>当該目標に関するSBTiによる認定についてはこちらをご覧ください

戦略:シナリオ分析

シナリオ分析の実施

TCFDは、気候変動をテーマとして、企業に対し、ガバナンスとリスクマネジメントの高度化、及び財務への影響等の開示を求めるイニシアティブです。
具体的には、2℃目標等の気候シナリオを用いて、自社の気候関連リスク・機会を評価し、経営戦略・リスク管理へ反映、その財務上の影響を把握、開示することが求められます。影響を評価し戦略を策定するにあたっては、気候変動が中長期で不確実な状況でのリスクであることを踏まえ、将来の姿を複数想定し、これらが実際に起こったと仮定した場合のリスクや機会を検討する「シナリオ分析」という手法が推奨されています。
資産運用会社であるオリックス・アセットマネジメント株式会社は、環境省の「令和2年度TCFD提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に選出され、本投資法人に関するTCFDシナリオ分析を実施し、2021年4月にその結果を公表しました。
さらに、第2回目のシナリオ分析を実施し、前回の分析を深掘りし、 将来的な財務への影響を想定した内容の分析結果を2022年9月に公表しました。

前回のシナリオ分析はこちら

シナリオ分析の範囲

上記支援事業では、オリックス・アセットマネジメント株式会社が運用を受託する本投資法人の資産運用をシナリオ分析の対象としました。本投資法人のバリューチェーンは、下図の通りですが、今回の支援事業では、資産の保有・運用部分に限定し、2020年10月末時点で保有する全111物件について、取得・売却などの変動がない前提で分析しています。
よってご紹介する考察は限定的であり、全体への影響を示すものではなく、また仮説を前提とした試算であることをご理解ください。

選択したシナリオ

物理リスクを2050年時点における「4℃シナリオ」と「2℃シナリオ」の2パターンで選択(移行リスクはいずれも2030年時点の状況で想定)

シナリオ分析にあたり想定した世界観は、以下の2通りです。

  • Tokyo Cap and Trade Programの略称で東京都キャップ&トレード制度(温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度)のことをいいます。
  • Net Zero Energy House/Net Zero Energy Buildingの略称で、大幅な省エネルギーを実現した上で年間に消費するエネルギー量をまかなうことを目指した住宅/建物のことをいいます。
  • Greenhouse Gasの略称で温室効果ガスのことをいいます。

事業インパクトの試算

シナリオ分析の範囲

前回結果との比較のため、前提条件は基本的に前回同様としています(2020年10月時点のポートフォリオを対象に、2019年8月期と2020年2月期を合算した1年を基準として分析) 。
赤字箇所は前回からの変更部分です。

選択したシナリオ

物理リスクを2050年時点における「4℃シナリオ」と「1.5~2℃シナリオ」の2パターンで選択(移行リスクはいずれも2030年時点の状況で想定)

シナリオ分析にあたり想定した世界観は、以下の2通りです。

  • Tokyo Cap and Trade Programの略称で東京都キャップ&トレード制度(温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度)のことをいいます。
  • Net Zero Energy House/Net Zero Energy Buildingの略称で、大幅な省エネルギーを実現した上で年間に消費するエネルギー量をまかなうことを目指した住宅/建物のことをいいます。
  • Greenhouse Gasの略称で温室効果ガスのことをいいます。

事業インパクトの試算

気候変動による事業インパクト

算定したリスクと機会による収益への影響の検討

リスクと機会の収益への影響算定結果

  • 本試算は資産運用会社が、主要機関が提示する複数のシナリオを参考に設定したパラメータを基に、OJRの実績等を踏まえて想定した将来の影響額の試算であり、数値の正確性を保証するものではありません。また想定する対応策についても、影響試算上の想定であり、実行を計画・決定したものではありません。

事業インパクトの試算:4℃シナリオ
気温上昇による空調コストの増加、省エネ改修費用等が減益要因に

  • 本試算は資産運用会社が、主要機関が提示する複数のシナリオを参考に設定したパラメータを基に、OJRの実績等を踏まえて想定した将来の影響額の試算であり、数値の正確性を保証するものではありません。また想定する対応策についても、影響試算上の想定であり、実行を計画・決定したものではありません。

事業インパクトの試算:1.5~2℃シナリオ
炭素税と賃料下落による影響が大きいが、環境認証取得や再エネ化の対応策により賃料収入が回復、減益インパクトは圧縮

  • 本試算は資産運用会社が、主要機関が提示する複数のシナリオを参考に設定したパラメータを基に、OJRの実績等を踏まえて想定した将来の影響額の試算であり、数値の正確性を保証するものではありません。また想定する対応策についても、影響試算上の想定であり、実行を計画・決定したものではありません。

戦略:移行ロードマップ

本投資法人は、上記目標達成に向け、移行ロードマップを策定しました。

2030年までは、本投資法人で主導的に対応が可能な、スコープ1,2およびスコープ3カテゴリ13(テナント専有部分)のうち本投資法人が設備管理や電力契約の権限を有する部分を中心に、総量ベースで2021年比42%のGHG排出量削減を行います。具体的には従来からの省エネ活動に加え、再生可能エネルギー(再エネ)由来電力の利用を拡大、2030年には本投資法人が契約する電力の50%を再エネ由来電力(非化石証書の利用を含む)にします。

2050年に向けては、2040年までに電力の100%再エネ化をすすめ、またテナント企業と協議・協働し、専有部分に関する排出削減をすすめます。加えて、利用するサービス、改修工事、廃棄物処理委託などサプライチェーンでの排出や電力以外のエネルギーに関する排出について、各分野の進捗を注視しつつ、対応状況の確認や削減要請などエンゲージメントを図りながら対応をすすめていく予定です。

  • 創エネ…太陽光発電等により自らエネルギーを創出する取り組み

TCFD提言への今後の対応

今回のシナリオ分析は、事業範囲の一部に限定して分析したものであり、全体の影響を評価したものではありません。また個々の項目についても、前提条件の設定や考え方などさらに検討・深堀が必要だと認識しています。世界の潮流はもちろん、日本においても「ネットゼロ」にむけて動きが加速化しているところであり、政策動向も踏まえ継続的に対応、TCFDで求められる情報開示を進めてまいります。

SBTiによる認定

SBTi(Science Based Targets initiative)は、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)により2015年に設立された国際的な気候変動イニシアティブです。

SBTiより認定を取得するには、気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前の水準から2℃を大幅に下回る水準に制限し、また1.5℃に制限する努力を追求するというパリ協定が求める水準と整合させたGHG排出量削減目標を設定する必要があります。

本投資法人は、ESG方針に基づき策定した「エネルギー・温室効果ガス削減指針」に掲げる目標のうち「2030年に本投資法人のGHG排出量を2021年比42%削減すること(対象:スコープ1、スコープ2)」について、SBTi(ニアターム目標)認定を取得し、また、「2050年に本投資法人のサプライチェーンを含むGHG排出総量を、2021年比実質 90%以上削減すること(GHG 排出総量とは、スコープ1、スコープ2、スコープ3を含む範囲)」について、SBTi(ネットゼロ目標)認定を取得しました。

>SBTiの詳細については、こちら(英文ページのみ)をご覧ください。

関連法令等への対応

地球温暖化対策報告

◆東京都

本投資法人は、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」に基づく「中小規模事業所の地球温暖化対策報告書制度」に基づき、該当物件について、同報告書を提出しています。

> 中小規模事業所の地球温暖化対策報告書制度の概要についてはこちらをご覧ください。
> 東京都環境局への報告の詳細についてはこちらをご覧ください。

◆東京都港区

本投資法人は、東京都港区の「港区民の生活環境を守る建築物の低炭素化の促進に関する条例」に基づき、該当物件について「港区地球温暖化対策報告書」を提出しています。

> 港区地球温暖化対策報告書制度の概要についてはこちらをご覧ください。